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PAK-保健所の犬・猫を救う会

ヨロンドッグレスキューまでの道のり
  -何故ヨロン島の犬なのかー
                     ヨロンドッグレスキュー代表
                              井上  由美子

私が初めてヨロン島を訪れたのは、今から19年前、1997年の夏でした。
観光で訪れたヨロン島の海を一目見た時、その美しさに感動しました。
以来19年間毎年夏休みに通い続けています。
訪れる度にヨロンの人達の温かさに触れ、空の色に感動、夕日に感動、風に感動。
素晴らしい自然に身も心も癒され、ますます好きになってゆきました。
美しい海と温かい島の人々、都会とは全く違うゆったりした島時間の流れる、
まさに癒しの島です。


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ヨロン犬第1号

ヨロン3度目の夏、ビーチに現れた生後7カ月位の茶色い犬。飼い主はいません。
とても馴れていて、私達が滞在中どこからか現れて、ずっとついて来ました。
東京に帰る日も側を離れません。
宿泊先のスタッフにヨロンでは野良犬はどうなるのか聞いてみると、当時の話ですが、
毒団子を撒いて駆除するとのこと。それほど野良犬、猫が多かったのです。
私はその犬を置いて帰るわけにはいかず、連れて帰ることにしました。
首輪もリードも無い、狂犬病予防注射もワクチンも打ってない犬がはたして飛行機に
乗せられるのか?東京に帰る2時間位前の話です。
すぐにスタッフがヨロン空港に問い合わせてくれました。OKです。
犬を運ぶクレートも貸してくれるそうです。
スタッフがロープで即席の首輪とリードを作ってくれました。
そうしてやって来たのが、ヨロン犬第1号のタロでした。
毎年のようにビーチに現れる野良犬、猫、街中を子犬を連れウロウロしている犬。
そんな犬や猫を見ると、この子たちはどうなるのだろうと心が痛みました。
その後、ヨロンで保護した犬4頭は、1頭は私が飼い、3頭は里親さんを見つけました。


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実際のレスキュー開始へ

ある時、自宅でヨロン町役場のホームページに保護犬情報があることを知りました。
恐る恐る見てみると、かわいい犬が保護されていました。
こんなにかわいい犬ならすぐに飼い主が探しに来るだろうと、しばらくはそのページを見ませんでした。ヨロンで殺処分が行われていることなど考えたくなかったのです。
しかし、そういう施設が在るということを知った以上、犬達の現実に目を逸らすことが出来ませんでした。島に愛護団体など有りません。ならば私が助けよう。
それからは、毎日ホームページを見ました。
首輪をしている犬が保護されていれば、宿のスタッフに連絡し心当たりがないかポスターを貼ってもらい、知人にホームページを見るようお願いしました。
無事飼い主の元に帰れたと分かると、嬉しくて涙が出ました。
そんなある日、1匹の子犬が保護され、ずっと飼い主が現れません。
このままでは、殺処分です。
ヨロン島には、保健所がありません。保健所のある徳之島から月1回職員が来て、
犬を注射で処分するとのこと。ですから、職員の来る日と、保護されたタイミングによっては、1カ月は、処分されません。
なんとかその犬を助けたいと、譲渡のお願いをしてみました。
最初は、けんもほろろの門前払い。島外(県外)譲渡など、有り得ない、考えもしない、といった対応でした。電話で他県の対応を話しても聞く耳を持ちません。
それから、動管法や、鹿児島県動物愛護推進協議会を調べ、他県の保護犬に対する取り組み、関係書籍、愛護団体の資料、空輸方法、自宅の写真等、考えられる全ての資料を
与論町役場、管轄の徳之島保健所、保護犬・建物施設を所有する鹿児島県庁保健所に送りました。
環境省は出来るだけ生存の機会を与えるように努めることを通達しています。
何度も交渉し、色々な約束事を決め、ようやく譲渡の許可が出ました。役場、保健所は子犬1匹の県外への譲渡を空輸でするなど想像もしなかったのでしょう。
そして、いざ引き取りの日程を決めるため連絡を取ったところ
「どの犬を引き取りますか?」との話。
「どの犬ってあの子犬に決まっています。」
「どの子犬ですか?今全部で20頭以上いますが。」
「エー?」
ずっと1匹だったので、しばらくホームページを見ていなかったのです。
どの犬を引き取るかなんて選べるわけありません。
「皆、引き取ります!」
その場で即答。どうにかなる。全く迷いはありませんでした。


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PAKの協力・支援

ヨロン犬第1号タロのパートナー、ナッツを紹介してもらい、ヨロン犬第2号コニーが産んだ子犬の里親さん募集をホームページに載せてもらったり、何かとお世話になっていた愛護団体PAKにヨロン犬を再度ホームページに掲載してもらえるかどうか聞いてみました。
この時点では22頭自分で保護するつもりでしたが、この話が、PAK会員に伝わり、半数以上がお願い出来ることになりました。
これがヨロンの保護犬レスキューの始まりです。
PAK会員ではありませんでしたが、PAKの里親会に参加させて頂き、フード、医療の支援がありました。


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活動実績

その後も次から次へと収容される保護犬は、PAK会員さん、ボランティアさん、他の愛護団体さんの協力で里親さんを、見つけることが出来ました。譲渡の出来る犬は、全て引き出しています。
ヨロン犬をレスキューしてまだ2年足らずですが、確実に改善の方向へと向かっています。今までは年に1頭かゼロだった島内譲渡ですが、与論町の週報に保護犬を譲渡できることを掲載することにより、少しずつ増えています。譲渡の際、以前は徳之島保健所職員の講習を受けなければ譲渡してもらえませんでした。場合によっては、1ヶ月先の講習まで犬はセンターで待つことになります。それを後日、講習を受ければいいようにすることで保健所職員を待たずに譲渡が出来るようになりました。
収容犬のダニの駆除。避妊・去勢費用の無料化等。
こうして振り返ってみると、行政相手に数々の交渉事をしてきましたが、
そのどれもがすんなりいったわけではありません。
時には電話で声を荒げ喧嘩腰になることもしばしばでした。
でも行政の立場と私の立場が違うのは当たり前、喧嘩して「もうヤーメタ!」というわけにはいきません。犬のために相手の立場を理解しながらレスキューを続けています。


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日本初殺処分ゼロの施設へ

2013年10月、鹿児島県霧島市隼人町に全国で初めて殺処分をおこなわない「動物愛護センター」が
完成しました。360平方メートルの木造平屋建てに320平方メートルの芝生の広場があり、3人の獣医師と4人のスタッフが勤務しています。この施設は、県内3ヶ所にある「蓄犬管理センター」から犬、猫を最大各20頭づつ引き取り2~3週間をかけ飼育しながらしつけ、ワクチン接種、血液検査、検便等の医療が行われます。
その後、センターと動物愛護団体の共同で週1回譲渡会が開かれます。まさに動物愛護センターの名にふさわしい施設です。全てのセンターがこのようならいいのですが、このセンターに引き取られるのは、まだ一部で、依然他の施設では、殺処分が行われています。

現在、与論町の収容犬は、鹿児島県庁保健所が[全ての犬を引き取るので殺処分をしないでほしい]という申し出を聞き入れて下さり、譲渡が出来るまで、与論町職員が飼養しています。なかなか馴れない犬を根気よく、犬のことを考え世話をして下さっています。ありがたいことです。期限を設けず、譲渡出来るまで飼養してもらう事が理想ですが、そのためには、犬の飼養に適した施設が必要で県と交渉を重ねています。それと同時に今後は、馴れない犬の譲渡を検討して頂き、それを承知の上で引き取れる道が出来れば、違ったレスキューの方法も考えられます。


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PAK ヨロンドッグレスキューへ

前記のように以前からPAKから支援を受けていましたが、会員ではありませんでした。
特に名称も無く「ヨロンの犬をレスキューしている」ということで活動をしてきましたが、平成25年末、里親会への参加方法が変わったことを期にPAKの会員になり、PAKの中のヨロンドッグレスキュー代表として活動することになりました。活動内容は今までと全く変わりません。

PAK 保健所の犬・猫を救う会  Paws Adoption Knagawa

2002年1月に発足今年13年目を迎えました。主に神奈川県を中心に活動し、
2013年末までに、1861頭の犬・猫をレスキューしています。
事務局  神奈川県鎌倉市梶原

今の私があるのは、PAKがレスキューした犬の里親になったからと言っても
過言ではありません。
明日にでも消え行く命だった犬、我が家にたくさんの幸せを運んでくれる犬ナッツ、助け出してくれた会員さんに感謝の気持ちで一杯です。要らない命などありません。
殺していい命などありません。どんな犬でも、必ずその犬を必要とする人がいます。
それが[全ての犬を救う]という気持ちにつながっています。


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今後のこと

殺処分ゼロの島、ヨロン島、犬も猫も適切な飼養がされていることが理想です。
小さな離島だから出来ることなのかもしれません。
初めに多くの支援がPAKよりありました。
他の愛護団体さんの協力と皆様の暖かい励ましとご支援がありました。
わずか数人のボランティアさんの熱意のある行動でここまでやってこられたのです。
もし日本が殺処分廃止になったら、日本中の愛護団体の協力があるでしょう。
施設も譲渡を前提としたものにして、殺処分にかけてた費用を生かすことに使ってほしい。
ヨロン島が日本のお手本になれば、どんなに素晴らしいでしょう。


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里親さんへ

ヨロン島の犬を家族として迎えて下さった里親の皆様。
皆様がいたからこそ、ここまでやってくることが出来ました。
心より感謝いたします。
ご縁があったのが、たまたまヨロン島の犬だったのだと思います。
保護犬を迎えるという選択をして頂き本当にありがとうございました。



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